「(仮称)区政運営の新しいビジョン素案」に意見を提出しました。
1月30日に、練馬・生活者ネットワークは「(仮称)区政運営の新しいビジョン素案」について意見を提出しました。 詳細は下記の通りです。 2015年1月30日 練馬・生活者ネットワーク 代表 山口 文江
区政運営の新しいビジョン(素案)についての意見
○区政運営の新しいビジョン(素案)の策定について
・(仮称)区政運営の新しいビジョンでは、全体的に、今まで行われてきた事業の課題・成果、評価や、今後の方向性、新たに提案されている事業との関連が明確に記載されていないので、非常にわかりにくい。今までの区の施策に、利用者として、事業者として、ボランティアや地域活動としてなど、関わってきた区民はおおぜいいるのだから、今までの事業との関連を明確にすべきである。 ・素案としてまとまったものを示し、その上での意見募集となっている。区民の意見を募集し、その上での時間をかけた素案の作成はできなかったのか。自治体として市民との協働への姿勢を丁寧に示すべきだった。
T 子どもの成長と子育ての総合的な支援
計画2 「練馬子ども園」の創設 (1)私立幼稚園における長時間預かり保育の拡大 ・保護者のニーズ調査で希望が多かった「預かり保育のある幼稚園」に応える「練馬子ども園」だが、「標準型」を設定するにしても幼稚園の負担は大きいものと予想される。 区が預かり保育に取り組む私立幼稚園を大きく増やすと言っても実際にどのくらいの私立幼稚園が実施できるのか意向調査をおこなうことや、どのような負担が生じるのか具体的で丁寧な説明と意見聴取が必要と考える。 (2) 小学校入学までの切れ目のない教育・保育サービスの実現 ・「多様なニーズに応える」待機児解消策よりもまず、認可保育所を増やすべきである。 (3) 幼稚園と保育所における教育・保育の質の向上 「幼稚園と保育所間の職員交流や合同研修などを積極的に実施」については、現在も職員の時間的負担が大きい中で、さらに時間を確保することは難しいと考えるが、11時間という子どもが起きているほとんどの時間を過ごす場として、子ども一人ひとりの立場に立った環境づくりのためには幼・保の職員の連携も重要である。保護者と職員、職員同士の信頼関係が築ける工夫や相談体制をつくることは区が責任を持っておこなうことである。
計画3 すべての小学生を対象に放課後の居場所づくり 1 練馬型放課後児童対策事業「(仮称)ねりっこクラブ」の実施 「(仮称)ねりっこクラブ」について ・まず、「学童クラブ」と「ひろば事業」が他の自治体が既に実施している「全児童対策」のように全く統合されることではないことを確認する。 (1)学童クラブの待機児童を解消し、より安全で安心な居場所を確保します。 ・居場所づくりに「学校施設を弾力的に活用し、活動スペースを確保する」とあるが、現在の学童クラブでも校内に場所がなく、校外に増設する場所がなく、狭いクラブ室に約60人が過ごしている学校もある。これまでも問題になっている解決できなったスペース確保は可能なのか。 (2) ひろば事業のサービスを充実し、年間を通じた居場所を確保します。 ・ひろば事業の拡大についてはスタッフの増員が必要になるが、あくまでこれまで担ってきた地域住民の主体性は大切にしてほしい。
計画4 子どもたち一人ひとりに質の高い教育を ・子どもの権利条例を制定することを要望する。 1 学力の定着・向上 ・不登校や家庭環境等によって学習が遅れがちな児童生徒に対する学習支援はぜひすすめてほしい。 3 学校の教育環境の整備 ・ICT環境の整備については十分な検討が必要である。多額な費用を投じて機器を通しての授業が本当に子どもにとって必要なのかは疑問だ。教師と生徒一人ひとりが向き合えることが大切だと考える。 ・学校図書館への司書の配置を要望する。 5 総合教育会議による教育行政のさらなる活性化 ・区長と教育委員会が情報を共有することは必要だと考える。 ・ビジョンの説明会では区長が特定の政党の推薦を受けていることに対し、区長自ら「それとは別」と発言したが、区長が公平・公正な立場で会議に臨めるか疑問である。傍聴を認めることや情報の公開を求める。 ・「質の高い教育」が子どもに対して一定の価値観の押し付けであったり、競争心を煽るものになれば、そこからはみ出た子どもたちは孤立する。 自由な発想や表現を大切にして子ども同士や、子どもと大人、お互いの信頼感が 生まれ、ともに学んでいく環境を作りが必要である。
U. 安心して生活できる福祉・医療の充実
計画5 高齢者地域包括ケアシステムの確立 1 一人ひとりに合った医療・介護等の連携を支援 ・新たな事業として挙げられている「医療と介護の相談窓口」は、地域包括支援センター(高齢者相談センター・支所も含む)が行ってきた総合相談機能をどのように充実していくことになるのか。育児をしながらの高齢者介護、障害のある家族を抱えての介護など、重複した課題をもつ区民が増えているので、ワンストップで相談できる総合相談機能の拡充が必要である。 ・「その人に合った医療・介護連携チームの編成を支援する」とするがケアマネジャーからは、退院時のケアカンファレンスに医師が立ち会わない、医師との対面でのやり取りが難しいとの声を聞く。多忙のため退院支援の加算があっても動かない医療関係者が多い中、医師会との連携シートの開発などの具体策をすすめるべきである。 2 「街かどケアカフェ」の設置 ・「街かどケアカフェ」は、「情報相談ひろば」や支所の窓口と何が違い、どうすみわけをするのか。相談をする側にすれば、どの窓口でも同じ対応を期待するので、わかりやすい説明が必要である。 3 在宅生活を支援するサービス等を拡充 ・高齢者の在宅生活支援には、介護者も含めた世帯の問題として取り組む視点を忘れてはならない。昨年度区内では398件の高齢者虐待対応を行ったと聞く。介護者支援には、介護保険や高齢者福祉事業といった縦割りの施策だけでは不十分で、貧困対策や精神医療、地域活動や環境清掃、税金や保険料等の支払いなど、様々な切り口からの具体的な生活支援事業のメニューが豊富にないと、マニュアルに沿って一時、当事者を分離しても、同じ生活環境に戻すことになり同じことの繰り返しになる危険性が高い。高齢者の在宅生活支援には、全庁的な生活支援機能の充実を課題とするべきである。 ・「NPOや高齢者ボランティアの多様な担い手がサービス提供できる体制を整える」とあるが、特にボランティアの育成や市民活動を担うグループづくりなどには、NPO市民活動支援センターが積極的に設立支援を行うなど、ボランティアやNPOへの支援策の強化が必要と考える。
計画6 障害者の地域生活を支援 3 障害者の就労を推進 ・「福祉施設からの就労者数を年間200人が新たに就労できるよう取り組む」とあるが、就労を定着させていくには、就労後、当事者や事業所に対するフォロー体制が重要である。年々就労している人は増加しているので、丁寧におこなうべきと考える。 4 地域で暮らし続けられる住まいの確保 ・厚労省は「病棟転換型居住等施設」を容認する方向を打ち出し、病院敷地内に、介護型施設、自立訓練施設、さらには、グループホームやアパートを建設し、そこでの居住をもって地域生活への移行とする方向性を打ち出しているが、それでは、本来の地域生活とはかけ離れたものになってしまう。区ではこれまで、障がい者地域生活支援センター等を中心に地域への生活移行に向けて地道な取り組みを行っており、障がいがあっても地域で助け合って生活するための施策のさらなる充実を求める。
計画7 病床の確保と在宅療養ネットワークの構築 5 新たな急性期病院整備の検討等 ・練馬区は都心に出る交通機関に恵まれているため、私たちのおこなった「地域医療アンケート」でも区外の病院を受診している人が多い。これまで区内での病院建設と経営支援のために多額の税金が投入されてきた。さらに新たな病院誘致をすすめ、区民に負担を強いるのでなく、むしろかかりつけ医制度をすすめ、地域での医療ネットワークづくりを充実させるべきである。
計画8 つながり、見守る地域づくり 1 平常時にゆるやかに見守りあえる地域づくり ・避難拠点は避難所であるだけでなく、在宅の避難者の支援を行うことをもっと区民に理解してもらう必要がある。どのような場合に在宅避難者となるかを明確に示すことによって、不必要に避難所に行くことを抑制できるのではないか。備蓄の強化など自助の啓発にもつながる。 ・在宅避難者の把握、情報提供、支援のコーディネートは、在宅避難の状況に応じた具体的な計画を示し、地域住民と話し合う場をつくること。 2 災害時の要援護者支援の充実 (1)要援護者の安否確認体制の強化 ・法改正に伴い災害時要援護者名簿を避難行動要支援者名簿に位置づけることになるが、これまで取り組んできた関係者の混乱を招かないように、変更点や取扱いについて改めて説明し、理解を得るように努めること。 ・災害時要援護者名簿の制度や登録の方法を対象となる本人だけでなく、広く区民に知らせる必要がある。近隣とのたすけあいが機能している場合の避難拠点との連絡の取り方などきめの細かいルールづくりを住民参加で行うべきである。 ・平時において、災害時要援護者の避難想定、避難経路の個別確認などを行ない、発災時に対応できるような訓練を実施すること。 (2)福祉避難所の拡充 ・障がい者施設の福祉避難所もさらに増やし、避難する距離が最短になるよう求める。 ・災害時要援護者が平時に通所している作業所や保育所などで、十分な備蓄ができるように区の支援を求める。 ・災害時に配慮が必要な避難者もいる。平時においての機能や目的が果たせるように、男女共同参画センターえ〜るなどの施設は災害時の位置づけを明確にすべきである。
V.安全・快適な都市の実現に向けた基盤整備
計画9 鉄道、道路などインフラの整備 2 都市計画道路の整備 ・整備率や計画線に捉われず、環境保全や財政など多方面から将来世代に負担を残さないように住民参加でまちづくりとして取り組むべきである。 ・外環道および外環の2の整備については、地権者および沿道住民の対応を国や都などの事業者任せにせず、練馬区が説明責任を果たすべきである。 ・2016年度から2025年度までの新たな事業化計画の策定については、都市計画そのものを廃止も含め区民と協働で見直しすること。 3 西武新宿線の立体化 ・鉄道の立体化によって、既存の道路の渋滞は改善されることが予測できるので、 外環の2は不要。西武新宿線の立体化と外環の2は分けて考えるべきである。 ・踏切事故の危険性が特に高い上井草駅については、杉並区と連携し上下線ホー ムを繋ぐ跨線橋の早期設置を鉄道事業者に働きかけるべきである。
計画10 災害に強い安全なまちづくり ・地域防災力の向上のためには、住民同士の顔の見える関係性づくりが不可欠であ る。地域を分断する都市計画道路の整備は見直すべきである。 4 区民による防災活動の推進 ・ねりま防災カレッジ事業の充実だけではなく、地域での平時からの防災意識向上につながる取り組みをすすめること。
計画11 地域生活を支える駅周辺のまちづくり ・生活利便性、賑わいのある商業環境、地域の顔にふさわしい美しさとシンボル性な ど抽象的な言葉をどのように共有し、人口減少社会においてどのように形成してい くのか。具体的に事業者、住民、行政の合意点をどのように見いだすのか具体的に示 すべきである。 2 上石神井駅周辺地区 ・上石神井駅周辺のまちづくりは、地域住民の合意形成が取れていない「外環の2」あ りきですすめるべきではない。 3 その他の駅周辺地区 ・武蔵関、上井草、保谷駅周辺地区まちづくりは、地域住民に十分周知し、協働で取 り組むこと。
計画12 住宅都市にふさわしい自立分散型エネルギー社会へ (仮称)練馬区エネルギービジョン ・福島第一原発事故の現状を見れば、これまでの原発を中心としてきたエネルギー政策を変え、基本的な考え方に「原発に依存しないエネルギー」を入れるべきである。 ・ビジョン策定にあたっては、意見募集だけでなく、区民や環境団体との話し合いの場を持つべきである。 2 取組の方向性と5か年の取組 (2) 自立分散型エネルギー社会への取組の推進 A 再生可能エネルギーの利用促進 ・市民や市民団体に公共施設の「屋根貸し」をすすめ、太陽光パネルの設置を市民との協働でおこなうこと。また、公共施設以外でも屋根の貸し借りのマッチングを区が役割として担うこと。これにより、より早く再生可能エネルギーの普及が期待できます。 B 清掃工場の活用 ・光が丘工場の建て替えは活用の機会である。ごみの減量にともない、焼却熱を利用した発電を考えるのではなくバイオマス発電についても専門家を交えて検討すべきである。 (3) 省エネルギーへの取組 ・エネルギーについての環境学習は大切である。「見える化」によって省エネの啓発も必要だが、学校にソーラークッカーや小型の太陽光発電機を配備して、普段は環境学習、災害時にも利用できるようにすること。
W 練馬区の魅力を楽しめるまちづくり
計画13 地域特性を活かした企業支援と商店街の魅力づくり 1 創業への総合的な支援の充実 ・新たに女性向け創業セミナーを開催し、女性が働くことへの支援は必要である。しかし、創業のノウハウだけでは、女性が起業できないことも認識すべきである。家事、育児、介護など家庭内無償労働を社会化し、「しごと」としていくことで、女性の働きやすい環境を整えていくこと。
計画14 農の活きるまち練馬 3 都市農地の保全に向けた取組の推進 ・小学校の給食に地場野菜の活用を進めてきているが、農家との交流も含め、地場野菜の活用をさらに支援していくこと。 ・たんなる食育ではなく、生産・流通・消費・廃棄と食の循環を考える食農教育として取り組むこと。学校で行う子ども向けだけでなく、大人向けの食農教育にも取り組むこと。
計画15 みどりあふれるまちづくり 2 都市インフラの整備におけるみどりの創出 ・都市計画道路の整備にあわせ、みどりを創出すると言っているが、道路整備によって破壊された自然は取り戻すことができない。今ある自然を保護し、維持していくことを優先し、開発ばかり追う姿勢を改めること。 3 みどりの美しい街並みづくり ・高齢になって維持管理ができなくなり、保護樹木などの解除が増えている。保護樹木の管理を支援するしくみを区民との協働で作っていくこと。 ・道路整備に伴う街路樹について、将来にわたり健全に育成可能な植樹方法や環境を確保するように、研究機関などと十分協議して進めること。
計画16 風を感じながら巡るみどりのまち 3 自転車レーンの整備促進等による散策しやすいまちづくり ・自転車レーンを整備するだけでは不十分。車を運転する人の自転車走行への理解、自転車に乗る人のマナーの向上などソフト面の充実にも取り組むこと。
計画17 練馬城址公園をにぎわいの拠点に 1 練馬城址公園に整備されることが望ましい機能の検討 ・練馬城址公園のあり方については、検討過程から公開し、区民参加で検討、意見反映に努めること。
X新たな区政の創造
計画18 新しい成熟都市に向けた区政の創造 ・リアルな現実、リアルな行政需要といっているが「現実的」という日本語では表現できないのか。 不必要なカタカナ語は共通認識を得にくく区民の理解も得にくい。 ・新しいビジョンのビジョンは『構想』だと説明したが、「練馬区基本構想」との関係を明らかにしながら使うべきである。 ・練馬区基本構想では区政運営を『区政経営』として、多用しているがこのビジョンでは使われていない。区政運営の根幹にかかわることなのでその理由を明らかにすべきである。 ・基本構想との齟齬が明らかになった以上、早期に自治基本条例を策定し、区民主体で新たな基本構想をつくるべきである。 ・改革実現のために職員の意識改革を掲げているが、練馬区職員の古くて内向きの体質を変えるには、まずは区長と職員の信頼関係が重要。トップダウンの上から目線では、意欲的な職員は育たない。 ・管理職を含めた職員のコンプライアンス意識の欠如も課題として認識すべきである。 以上
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